虐待されてても。

僕と弟は、殴られていた。

血のつながった、父に…

 

何度も家を飛び出した。

 

そして、児童施設に入った。

小5だった。

「あの家に帰らなくていいなら、もう 暴力をうけなくていいなら

 施設でいい。」

そこが、どんなところでも、家に帰るよりはましだと思った。

 

 

児童施設は、天国だった。

三食のご飯はある。おやつもある。

寝てても、怒鳴って起こされることも、

理不尽に殴られることも、蹴られることも無い。

物が飛んでこない。

 

とりあえず、人間らしく暮らせる場所だった。

 

イライラすることもある、大人とも喧嘩になる

僕は、問題児だったかもしれない。

 

でも、施設で暮らさなければ、

きっと、大人になって

人を信じられるようにはならなかっただろう。

 

施設を出てからも、いっぱい挫折もした。

DVにもあった、理由無いイジメや

騙されたりもした。

人間扱いされなかった時期もある。

 

でも、きっと いつか 自分の幸せが見つけられると

根拠のない自信だけはあった。

 

児童施設で 「信じられる大人たち」に会い

その人たちは、僕を信じてくれていた。

「悪いのは、君じゃない。」

 

その言葉を、また聞けたのは

リリィの口からだった。

 

僕は、今は幸せだ。 胸を張って言える。

 

だから、誰かの力になりたい。と願っている。